晩夏
夜祭でヨーヨーをつるしぼむのはすこしくすんだ子供の気持ち
「金魚って友達とかはいるのかな」金魚すくいをきみはやらない
毒色のクリームソーダのみほした地球のみどりがすこし減ったね
火の花はいつでも咲くよ藍色のそらにかざした手をパーにする
みぞれ味こんな夏には夏だからブルーハワイは頼みたくない
カラオケでクリスマスソング歌うなど正座しなさい、キスしてあげる
夕方のチャイムがなった一昨日によんだ詩集を思い出してる
ひまわりの柄を着てきた君の背を笑いながらもずっと見ていた
また明日あった時には貸していたビート板と夏、持ってきてよね
普段なら通り過ぎてる神社には「秋が素敵でありますように」
夏が終わる。あっけなく、ぱたりと落ちるセミと一緒に。氷点下と貼ってあったビールのポスターは、はがされていた。冷やし中華の食堂は、みそラーメンをはじめた。
夏が、終わる。
切りすぎた後ろ髪が、すこし寒い。空みたいなネイルが、ちょっと恥ずかしい。
平成最後の夏は、別段なにもかわらなかった。市営プールにいって、花火を見て。なのに、いつもすこしさみしかった。いつもより、終わりがきになる。エンドロールが、待機している。まだ、終わらないで。やり残したことがたくさんあるんだ。砂浜に、意味のない言葉を書いては消したりとか、カニをみつけたりとか。
でも、また来年の夏が来る。絶対、来る。だからわたし、特売品の浮き輪を、9月に買った。