ミラサカクジラの短歌箱

歌人・ミラサカクジラの短歌や雑多な日記。

2020-01-01から1年間の記事一覧

あおみどりの季節に

若葉たち魔法のようにひらいてくリボンをほどくときは今だよ キャンパスはカンヴァスに似てあちこちに色が咲いては響きあってる 今日ならば空にだって手が届きそう一段飛ばしで階段をゆく ひしめいた生徒の数だけある未来さあ突っ走れ、始業が近い 果実らは…

「落書き」(小説)

「落書き」 ぼくには、当然友達がいなかった。赤いランドセルにはくっきりと靴底のあとがついている。ぼくは余り物なのだ。「冗談」がわからないから、いつも嫌われる。なんで笑わないんだよ、馬鹿にしてんのか、と今日も蹴られてしまった。「共感」ができないから…

世界アレルギー

コンビニで特売の売れ残り品をぜんぶ買いたい捨てないでくれ きっとぼく人間じゃないだから今泣いてる意味さえわからないんだ 機微だとか空気だとかは読めなくて唐突すぎるジョークを言った 折れた傘ゴミになっちゃう世界なら世界アレルギーなんだよずっと …

今日からあなたは沖縄に行く

今日からあなたは沖縄に行く 「荷物重い」「そういうものや」と打ってから何が入っているか気になる 気を付けて行ってらっしゃい旅に行くひとには定型文しか言えない なんとなく美容院の予約をとった今日からあなたは沖縄に行く 海に出て鯨を見るよと特別な…