ミラサカクジラの短歌箱

歌人・ミラサカクジラの短歌や雑多な日記。

倫理のテスト

注がれたミルクは今日も白すぎて正しいことが分からなくなる

 

LINEには固定の人がいないのに24度目の春を迎える

 

ライターがつかなくなってふと気づく昔の恋人の誕生日

 

さよならの数ばかり増える日々にいてミックスジュースのような恋愛

 

渡された倫理のテストはマーク式  白紙回答を静かにわたす

カーテンを新調したら

筆箱を新しくするたびにまた新しい日がはじまるようで

 

曖昧な答えでするりと逃げていく曇りの日にはちょっぴりずるい

 

新品のお弁当箱なぞってる何を入れよう誰に渡そう

 

きみとなら本屋、百均、映画館 どこだっていい笑って頂戴

 

カーテンを新調したら部屋のなか初夏の香りがようやくとどく

 

 

今週のお題「新生活おすすめグッズ」

変わらない五本指

くちびるが乾いていってる深夜二時去年のキスを思い出してる

 

吸いすぎたメビウスはゴミになるばかり灰皿だけが僕の証明

 

檸檬より歌集をおけよ丸善にきっと爆発するはずだから

 

溶けていく意識のなかで浮かぶのはデパート屋上の遊具たち

 

マキロンを一口舐める  かなしみの形は変わらない五本指

あなたを密かに人間にする

鳩たちが地面をつつく震動で春はぴゅんぴゅんと跳ねている

 

化粧して鏡にすこしわらう時わたしとわたしがキスをしている

 

飲み込んだ言葉は小骨のように刺す(わたしもうあなたを好きじゃない)

 

カレーには隠し味に林檎を入れてあなたを密かに人間にする

 

読みかけのカラマーゾフの兄弟を置いてから見る空は何色

珈琲を飲めないわたし

 

モカチーノ飲みながら待つきみのこと一分一秒鼓動がつのる

 

地球儀を回しながらも傍らにあるコカ・コーラ子供のしるし

 

今日からは頑張ろうって線を引く野菜ジュースはやっぱりにがて

 

珈琲を飲めるあなたが好きだった飲めないわたしもまた好きだった

 

駄菓子屋で買ったサイダー振りながら夏が来るのを待っていました

 

 

今週のお題「お気に入りの飲み物」

夜は最高速度

東京の真ん中を泳ぐようにいくすれ違う人ばかり増えてく

 

あの人の指輪のサイズを覚えてる踏み外したのは光のはしご

 

灰皿に後悔だけがたまってくタイムマシンのないこの星で

 

ともだちに教えてもらったハーブティー夜は最高速度ですぎる

 

金平糖とかしたような恋ばかり飲み込んだのにざらついた舌

ペコちゃんとおしゃべりできる魔法

泣き跡は最高のメイク「ありがとう」って言葉がいちばん輝くメイク

 

コマンドはバランス重視じゃ勝てなくて今日も改札でつっかえました

 

街角の小さな不二家でペコちゃんとおしゃべりできる魔法はとけた

 

クレヨンは24色じゃ足りなくて未提出のままの夏休み

 

風見鶏みたいにゆれる教室でずっと親友だったあのひと