倫理のテスト
注がれたミルクは今日も白すぎて正しいことが分からなくなる
LINEには固定の人がいないのに24度目の春を迎える
ライターがつかなくなってふと気づく昔の恋人の誕生日
さよならの数ばかり増える日々にいてミックスジュースのような恋愛
渡された倫理のテストはマーク式 白紙回答を静かにわたす
あなたを密かに人間にする
鳩たちが地面をつつく震動で春はぴゅんぴゅんと跳ねている
化粧して鏡にすこしわらう時わたしとわたしがキスをしている
飲み込んだ言葉は小骨のように刺す(わたしもうあなたを好きじゃない)
カレーには隠し味に林檎を入れてあなたを密かに人間にする
読みかけのカラマーゾフの兄弟を置いてから見る空は何色
ペコちゃんとおしゃべりできる魔法
泣き跡は最高のメイク「ありがとう」って言葉がいちばん輝くメイク
コマンドはバランス重視じゃ勝てなくて今日も改札でつっかえました
街角の小さな不二家でペコちゃんとおしゃべりできる魔法はとけた
クレヨンは24色じゃ足りなくて未提出のままの夏休み
風見鶏みたいにゆれる教室でずっと親友だったあのひと