(お題・「涙は星になった」から始まる小説) 涙は星になった。ぽろぽろと頬を伝う度に、空に舞っては星になっていった。ため息は雲になった。うなだれて零す度に、厚い雲が夜の輪郭をつくっていた。 ぼくは世界でたった一人で、今日も煙突に登っている。上へ、…
(お題・「目をそらさないで」から始まる小説) 目をそらさないで。水槽のなかのわたしをみて。 昨日までなかったヒレは、モルフォチョウのような鱗をきらきら光らせている。わたしは、人魚になった。電話口で「あなたとなんか、二度と口を利かない」と言い放っ…
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