ミラサカクジラの短歌箱

歌人・ミラサカクジラの短歌や雑多な日記。

借り物の翼を返す

凍るほどさむくないけど開花予報ははるか遠くのものにきこえる

 

ネイルした指はささくれだってるし等身大はみっともなくて

 

卒業はおめでたいけど借り物の翼を返す儀式でもある

 

同輩の書く文章がすきだった羨ましかった憎かった、ねぇ

 

恥ならば人の数倍かきましたコケつつぬかるみの中を往く

 

あこがれたお酒も煙草もセックスもセーラー服には敵わなかった

 

飛べるかなまだハリボテのこわれもの助走ばかりが上手くなってく

 

五年間いくつか花丸をもらっていくつか致命傷の言葉たち

 

進路など決まってませんなのにもう滑走路から離れるタイヤ

 

さようなら。だいすきでした。ありふれた青春なんかが生きていました。

 

今週のお題「卒業」

 

 

明日、卒業式です。五年間通った大学を卒業します。わたしは大学がすきだった。お腹の底からゲラゲラ笑うようなこともたくさんあったし、脳が涙でたぷたぷになるようなこともたくさんあった気がする。サークルの幹事長を務めたこともあった。きらきらして、目がくらんで、よく思い出せないけれど。

 

最後の一年は、あまり大学に行けなかった。病気も良くなかったし、体調も悪かったからだ。それでも卒論を書き上げて、なんとか卒業まで漕ぎ着けた。いろんな方のおかげだ。

 

明日は、明日だけは、胸を張ろう。