ミラサカクジラの短歌箱

歌人・ミラサカクジラの短歌や雑多な日記。

5日目 かさぶた

入院5日目 退院

 

 

紐付きのスニーカーを返してもらう歩いていくのだ夢の端まで

 

いっこにこ忘れ物をチェックしてガラスの向こうは夢幻の景色

 

かさぶたを剥がしたくなる夜だっていくつも超える準備は出来た

 

霞んでも脆くなってもこの旗は手放さないよ震えながらも

 

桜咲く奇跡の星の真ん中でここにいますと叫びたくなる

 

 

 

退院した。荷物はまだ重い。あれもこれも、忘れられないまま歩くしかない。向かい風は追い風になって背中を乱暴に押す。歩くしかないのだ。傷跡も、泣き跡も、愛せたならば。