終末、新宿、あそびにいこう
予言では今夜せかいが終わるはず数Ⅱのテストさぼっちゃおっか
終末に欠伸をしてるわたしたちそのチョコレートいっこちょうだい
こんな日も山手線は満員でせわしなく往くまぐろのようだ
新宿はカップヌードル・ファンタジア 三分後にはぜんぶ嘘だよ
カラオケで歌うやさしいバラードもいつか海底の貝になる
また今日もおんなじ夜がおちてくるiPhoneでみる月が綺麗ね
わるいけど留守番電話は聞かないのあなたの声はもう過去のもの
公園でポッケの中のライターを撫でつつぽつり「花火でもする?」
かけてゆく極彩色の街のなかセーラー服はよごれないまま
隕石をインスタグラムにアップしてそれからわたし ようやく泣いた
新宿という街は不思議だ。目まぐるしく人も風景も変わっていく。瞬きをしたら、何もかも過ぎ去ってしまう。よく通ったタピオカ屋さんは、ラーメン屋になっていた。よく待ち合わせをしたあのひとは、今どこにいるんだろう。
むかしセーラー服を着ていたころ、制服に腕をとおした瞬間になにかが切り替るような感覚があった。さらりとした感覚、すこしつめたい、背筋がすっとのびる。そんなことないはずなのに、なんとなく無敵になったような。あの、ひかってるマリオみたいな。
セーラー服で新宿をあるけば、全てがきらきらしていた。全然とれないユーフォーキャッチャーがすきだった。たまに行く純喫茶の、みどりのふかふかの椅子がすきだった。すきなものがたくさんあった。あのころもし世界に終末が来ても、きっとなに食わぬ顔でわらっていた、と思う。それから少しだけ泣いてしまうと思う。